南郷アートプロジェクト2019|見つけに行こう、まだ知らない南郷を。

プロジェクト01
島守ダンス映画製作プロジェクト
prologue
プロローグ

ふたつの行列

未来へ向かう花嫁行列と過去を弔う葬式行列が、「見えないもの」を隔てて行き交う。「生」と「死」 を象徴するような対照的な2つの行列は、祖先を尊び過去を大切にしながらも、明日に向かって今 の暮らしを紡いでいる島守地域のあり方を表している。

時代が変わり、花嫁行列も葬式行列もほとんど行われなくなってしまったが、昔はどちらも地域にとってとても大切な儀式だった。

今と違って、地域のなかでお嫁にいったから、花嫁は嫁入り道具と一緒に、歩いて花婿の家に向かった。行列の前に、まず婿の親戚たちが嫁を迎えにいった。これを「嫁迎え」という。嫁の家族は「嫁迎え」の一団に酒をたくさん勧めて、少しでも嫁の出発を遅らせようとした。

昔の花嫁衣装が着物なのは想像がつくが、白無垢ではなく黒い振袖を着たそうだ。そして、嫁入り道具に欠かせないのが箪笥と長持ち。映画では、花嫁行列はあえてファンタジーに、白いリヤカーにウエディングドレスの花嫁が、物干し竿に吊るした台所道具や衣服とともに進んでいく。

昔は家で葬式をして、行列を組んで故人をお墓まで運んでいった。日取りが決まっている結婚式と違い、葬式は事前に準備ができないから大変だったそうだ。誰かが亡くなったと聞いたら村の男たちは手分けして道具を作ったり、土葬の準備をしたり、寝る間も惜しんで働いた。

撮影を行ったのは夏も真っ盛りの 8 月。荒谷地区を中心に地域の方と、南郷外からやってきたエキ ストラの方に協力いただき、2つの行列を行った。人々が歩いているとき、過去なのか現在なのか、 はたまた未来なのか分からない不思議な時間が流れたような気がした。



出演:高桑晶子・塩谷智司・鉾久奈緒美・小田直哉・坂詰健太(大駱駝艦)、
   島守荒谷地区の皆さま、エキストラの皆さま
ロケ地:荒谷地区