南郷アートプロジェクト2019|見つけに行こう、まだ知らない南郷を。

プロジェクト01
島守ダンス映画製作プロジェクト
prologue
プロローグ

夜の森の虎

島守に受け継がれている民俗芸能の一つ「島守虎舞」。

「虎舞」は荒れ狂う虎を、ササラ(細い竹や木などを束ねた道具)を持った子供の純真な神通力で導くというものである。虎の霊力によって、悪魔祓いや火よけに効力を発揮する。また、虎の「千里行って千里戻る」という伝説から、航行安全を願う芸能でもあり、太平洋沿岸部に分布している。

(引用:八戸市HP「南郷の民俗文化財」 https://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/12,72788,129,63,html」)

島守虎舞は、地域のお祭りや郷土芸能発表会、結婚式の余興などで披露され、人々に幸福をもたらす祝福芸として愛されている。子供たちに操られるようにくるくると動く虎の動きや、ひょっとこと虎のひょうきんなやりとりが見るものを和ませる。

祭りのたびに人々を楽しませ、人の世界になじんだ虎も、ふと野生に戻る瞬間がある。虎が現れたのは、夕方と夜の間の誰もいない森。樹の下に隠れ、何かを伺っている。ひょっとこに誘われるように、虎が進んでいった先にいるのは、亡霊のような「何者か」。虎は恐れる素振りもみせず、「何者か」に惹かれるように彼らと舞い始める。虎と「何者か」は互いの激しさに共鳴するように、一心不乱に踊り続ける。

踊り疲れたのか、やがて虎たちは森へと帰っていく。そこに残されたのは、虎のようなものへと変化した「何者か」たち。彼らが掲げる松明の炎でも照らせないほどに、夜の闇は深い。

松明の火のが消え、静寂がおとずれる。誰もいない夜の森がただそこにあった。